人々に「勇気」を与えられるコンサルタントでありたい。

最初のプロジェクトでの経験が、私のマッキンゼー像を決めた気がします。2005年初夏、入社直後のパッションだけを頼りに、私はフランクフルトに飛びました。日本人は私だけの、技術イノベーションのプロジェクトに参加することになったのです。物性物理を専攻していた私にフィットすると思われたのでしょう。主要な技術革新が既に終わったとされる業界で、単なる価格競争に陥らずに、付加価値の高い製品をどう生み出すかという、業界の未来を開拓するものでした。欧州のマッキンゼーが主体となって、業界全体に働きかけてスタートしたプロジェクトは、文字通り、その業界における主要企業全てがクライアント。「こんなことまでやるんだ!」私は純粋に驚きました。おぼろげに抱いていたマッキンゼー像を新たにし、クライアントにとって、どんな時でも助けとなる存在でありたいと、強く思うようになりました。

その後、様々なプロジェクトを経験し、現在は、2016年より始まった新たな試みであるリカバリー・アンド・トランスフォーメーション・サービス(RTS)にも関わっています。RTSとは、今までマッキンゼーが行ってきたコンサルティングからさらに一歩踏み込んで、課題解決の打ち手設計や実践だけに留まらず、その実践の完了までを支援します。1〜2年という長期間で、基本的にはクライアント企業の全機能における改善を目指すため、クライアント社内の様々な意思決定の仕組みや制度にも関わります。それ故の難しさもありますが、より深くクライアントに寄り添うことのできる機会も多く、大きなやりがいを感じます。

プロジェクト全体を牽引する立場となった今、クライアントから、もちろん励ましの意味も込めてのことなのですが、「いつかうちの社外取締役になって欲しい」、「久家さんがいるから、この仕事を御社に頼んでいるんだよ」と仰って頂けるのは、信用していただける嬉しさと同時に、非常に身の引き締まる気持ちになります。

また、クライアントだけでなく、マッキンゼーチームのメンバーが成長と喜びを感じながら働ける環境を作るという、マッキンゼーにおけるリーダーとしての使命もやりがいを感じます。異なる価値観を持った「個人」と、共通の目標である「プロジェクトの成功」、「マッキンゼーの追求する価値の体現」を紐付け、いかにベストを尽くしあうか。そのために一人ひとりを見て、それぞれの工夫や努力をきちんと認め、お互いが勇気付けられる存在になれるような積み重ねは、これからも深く取り組んでいきたいテーマの1つです。数年前に一緒に働いてくれたメンバーが、「久家さんと一緒に仕事が出来て良かった」「あの経験が無かったら今の自分はない」「一度は久家さんと仕事をやった方がいいと先輩から言われました」などと言ってもらった時は、何より嬉しく、報われたと感じる瞬間です。」

そんな私の志を支えてくれているのは、8歳になった娘です。入社4年目でパリオフィス転勤中に出産し、そのまま産休・留学と海外生活を共にした「同志」です。様々な挑戦や困難が続くときもありますが「ここで自分が諦めたら、彼女が将来同じ状況になった時に『諦めないで』とは言えない」という思いがあるからこそ、頑張ることができていると思います。マッキンゼーで働いている母親というのは、従来の典型的日本の母親像とはかけ離れている部分もあり、その点は、子供にとっても私にとっても、全ての子育てがそうであるように「大いなる『草の根』実験」です。彼女が成人した時に、お互いどう振り返るのか、その時の意見交換が今から楽しみです。