真のサステナブルなパッケージとは:パフォーマンスのトレードオフを理解する

パッケージに使用される素材の環境負荷への見解は、どの評価軸に着目するかによって異なる。企業は、(1)リサイクル性、(2)カーボンフットプリント、(3)廃棄時の環境負荷の三要素間で、トレードオフを理解する必要がある

経営者は、「パッケージ」を検討すべき課題とはあまり認識していない。しかし、この競争が激化する市場の中ではパッケージこそが消費者の目に触れる機会が多い企業の「顔」であり、過少評価すべきではない。また、温暖化の影響が日々の生活にまで及ぶほど顕著になっており、企業は株主や顧客への価値の還元のみならず、環境負荷軽減に向けた取り組みなどの社会貢献を果たすことも求められている。戦略を精査するのみではなく、環境負荷軽減の施策を実装に移す必要性が日々高まるなかで、まずパッケージに関する取り組みを検討・実施することが、事業軸をずらすことなく最も有効な初手の一つとなるのではないであろうか

パッケージのサステナビリティにおいて鍵を握る三つの要素

パッケージのサステナビリティは、主に次の三つの要素に分けられる: (1)リサイクル性、(2)カーボンフットプリント、(3)廃棄時の環境負荷(図表1)。マッキンゼーは、パッケージの種類毎に真のカーボン

フットプリントおよび総合的な環境負荷との関係性を把握することを目的として、(1)リサイクル性、(2)カーボンフットプリント、(3)廃棄時の環境負荷を関連づけ、バリューチェーン全体で直接的および間接的に排出しているGHGの総排出量を科学的根拠に基づき定量化する手法を開発した。以下の ベンチマーキングでは、この三つの要素のうちカーボ ンフットプリントとリサイクル性とのトレードオフにつ いて検討する。

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サステナビリティのベンチマーキング: 二つの活用例

分析方法の利用例として、消費量が多くかつ規制強化 の影響を多大に受け、世間の関心が高い「飲料ボト ル ( 炭酸飲料用など)」と「飲料コップ ( 清涼飲料水用 など)」の二つを紹介する( 図表2)。

飲料ボトルのリサイクル性は比較的高いが、必ずしも カーボンフットプリントが少ないとは限らない。多くの 企業がすでに考慮しているリサイクル性の観点からす ると、世界平均 1 でのリサイクル率はアルミ缶が比較的 パフォーマンスが高く約70%、ペットボトルおよびガラ ス瓶が約46%である 2 。ところが、消費者の認識は部 分的にしか一致しておらず、最も環境負荷が少ない素 材としてガラス、最も環境負荷が大きい素材としてア ルミ、スチールなどの金属缶を挙げている 3 。一方で、 カーボンフットプリントの観点からすると、ペットボト ルは他の素材のボトルより間接的、直接的カーボン フットプリントにおけるパフォーマンスが高い。具体 的には、アルミ缶はペットボトルの約2倍、ガラス瓶 は約6倍となる。この結果は、これらの素材の製造プ ロセスが炭素集約型であること、および輸送時の負荷 が高いことによるものであり、リサイクル率が高い反 面、カーボンフットプリントの観点からすると環境負荷 が低いとは言い難い 4

飲料コップにおいては、リサイクル性を大幅に高めるこ とで、排出量削減の目標達成に近づける可能性がある。 飲料コップのリサイクル率は、今回の分析で取り上げ た3種類の素材すべてにおいて比較的低かった。カー ボンフットプリントの点では、紙コップはプラスチック コップよりも大幅に少ないことが明らかとなった。これ は、紙コップの製造時のGHG 排出量が全体的に低い ためである。使い捨ての紙コップから繰り返し使える ガラスコップに切り替えると、さらにカーボンフットプ リントを50~60% 削減することができ、同時に製品寿 命が延びるために廃棄物も削減できる。実際、このこ とが現在の市場トレンドに反映されており、欧米諸国 ではパーソナルケア、フードサービス、その他の分野 で、返却可能または詰め替え可能な容器やパッケー ジを導入する動きが広がっている。とはいえ、これら のモデルの拡張性についてはまだあまり実証されてお らず、リユース( 再利用 ) やリフィル ( 詰め替え) のアプ ローチはまだ初期段階にある 5

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真のサステナブルなパッケージ検討に求められる三つのキーポイント

前述したパッケージのサステナビリティにおける三つの要素は必ずしも容易に組み合わせることができるわけではなく、カーボンフットプリントや様々なサステナビリティに関する目標達成に向けて、企業は素材の検討にあたりライフサイクル全体を通じて総合的に判断を行う必要がある。例えばリサイクルはできないが、カーボンフットプリントは少ない軽量パッケージの導入などがその一例である。したがって、消費者、企業、規制当局が、正確な情報に基づき意思決定を行えるようにパッケージのサステナビリティ・パフォーマンスの評価基準の透明性を高めることが重要であろう。今回の分析よりマッキンゼーが学んだ三つの重要なポイントをパッケージに関わるすべての企業に向け提示したい

消費者および顧客の環境負荷に関する知見の育成を手助けする

自社のサステナブルなパッケージに関連する検討事項を正確に発信する。その際に検討したパッケージ代替案(様々なサステナビリティの要素を考慮したもの)の評価と各選択肢におけるトレードオフについて明示する

環境負荷に関する目標間でのトレードオフを十分に評価する

バリューチェーン全体を対象に直接的および間接的GHG排出量を把握し、検討する各素材のあらゆる長所および短所を考慮すること。また、GHG排出量削減を目的とした再利用を促す新しいビジネスモデルも検討いただきたい

外部環境の不確実性に備える

パッケージのサステナビリティに対する解釈、および外部環境が変化し得ることを認識する(例えば、ある一つ要素に焦点を当てた環境保全関連規制の新規導入が実施された場合、他の要素が軽視される可能性がある)。このような不確実性に備えるには業界における変化要因やトレンドなどを熟知し、サステナビリティに関連するあらゆる側面を考慮のうえ、パッケージの代替案を常に策定しておく必要がある

パッケージの環境負荷軽減は、バリューチェーン全体に関与しかつ急速に進化している重要な領域でもある。消費者および顧客の関心も高いが、何が真のサステナブルなパッケージなのか、誰も未だに答えを得られていない。サステナビリティ・パフォーマンス評価は、どの要素を軸と置いて考えるかにより見解が異なる。業界を先導するには、先を見越し積極的に様々な取り組みに着手することが重要である