若手コンサルタントが社会的インパクト創出へ マッキンゼーで取り組んでいる学校現場からはじまる教育の変革

| Article

1. 教育を通して「創造的かつ持続的な変化」を生み出す。マッキンゼーの社会貢献活動

マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下、マッキンゼー)は「世界に創造的かつ持続的な変化を生み出す後押しをする」というパーパス実現のため、社会に関わる全ての人に対して包括的かつ持続的な「価値」を創出すべく、様々な社会貢献活動を行ってきました。その活動の一環として、マッキンゼー日本オフィスは「教育」というテーマで長期的なプロボノ・プロジェクトを実施しています。

なぜマッキンゼーが教育に取り組むのか。理由の一つとして、マッキンゼーは、人材の育成を重要視しており、社会の持続的な成長には、次世代を育てる教育の力が不可欠であると確信していることが挙げられます。マッキンゼー日本オフィスでは、数ある社会課題の中でも特に教育に関連するトピックへの社員の関心が高く、実際、今回の教育の取り組みは、社内の社会貢献アイデアコンテストで社員により提案され、選定されました。

さらに、グローバル化および技術革新が加速度的に進む中、将来を担う子どもたちは、新たなスキルを育てることを求められていることも理由の一つです。現在の教育現場では、2017年に改訂された学習指導要領に基づき、「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められています。その一方で、具体的な授業手法の多くは教員に委ねられており、日本の教員は新しいスキル習得につながる指導手法の実践頻度が他のOECD加盟国に比べて少ないとの指摘もあります。

2. マッキンゼーの「問題解決・連携協働能力」を日本の学校現場へ

マッキンゼーは、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、児童生徒および教員に必要な能力を分析しました。その結果、私たちが日々コンサルタントとしてクライアント企業に提供している能力開発と多くの共通点を見出しました。そこで現在、全国の公立小中学校の教員の問題解決能力や連携・協働能力を向上させる取り組みを行っています。

この取り組みの特徴は、マッキンゼーのメンバーが、学校で教鞭をとられている教員の方々に対して、直接、トレーニングを行っている点です。これまでマッキンゼーは、東京都、横浜市、名古屋市をはじめとした14の自治体に足を運び、1,000人以上の教職員に対して「問題解決・連携協働スキル研修」を実施してきました。また、研修内容の設計や作成においては、NPOや大学・研究機関の有識者と連携し、専門的な知見を取り入れる一方、毎回の研修では各自治体と内容を協議し、参加者の役職や現場のニーズに合った内容とすることで、実践的で効果的な研修を提供してきました。

また、研修の実施に留まらず、その研修が現場でどのようなインパクトを実現しているのかにもこだわっています。実際に、研修後の学校現場での実践について受講者とともに振り返る、受講者同士で授業の実践例を共有する場を提供する場合もあります。このように様々な工夫を取り入れた結果、研修の受講者満足度は90%に達しています。 これまでマッキンゼーは、この教員研修に日本オフィス全体で取り組んできました。具体的には、数名のパートナーを含む140名以上のコンサルタントが、研修講師やファシリテーターなどの形で教職員の皆様と交流してきました。

さらに2025年度からは「オンデマンド型学習コンテンツ(以下、オンデマンド研修)」を新たに開始しました。オンデマンド研修は、教育現場の業務で活用可能な問題解決能力および連携・協働能力を、オンラインで受講できる学習ポータルです。これにより、問題解決力に関心のある教職員が時間や地域を問わず研修を受講できるため、より多くの教職員に研修機会を届けられる体制となりました。このオンデマンド研修も同様に、受講満足度は94%を超えています。

これらの取り組みを通して、マッキンゼーは約3万8000人の学校教員にスキルを提供することを目標とし、その先にいる100万人以上の公立小中学校の児童生徒の学びにも間接的に貢献するべく活動してきました。今後とも、「主体的・対話的で深い学び」が教育現場で本格的に実践されることを目指して、支援を続けていきます。

本稿の後半では、実際にこの「オンデマンド学習コンテンツ」の実装を主導した若手コンサルタントの山本さんに話を伺います。

3. グローバルな知見を生かし、オンデマンド型学習を若手コンサルタントが主導

山本凜
マッキンゼー・アンド・カンパニー・日本オフィス。教育に関心が強く、大学時代に学んだデザインも生かすことができる本プロジェクトに参画。

―マッキンゼーのプロボノ活動の特徴を教えてください。

山本: マッキンゼーではプロボノ活動であっても一切妥協せず、クライアント企業向けのプロジェクトチームと同様の組織体制やスピード感で進めていきます。このプロジェクトへの参画も、ボランティアという気持ちではなく、初日から高いプロフェッショナリズムが求められます。また、これはプロボノ・プロジェクトに限りませんが、若手であっても自分自身で裁量を持って進めていく機会が多く、主体的に責任ある役割を担える環境が整っています。実際に、私はオンデマンド研修の企画から教材作成、実装までを幅広くリードさせていただきました。

―オンデマンド研修の実装に際し、どんなことを工夫しましたか?

山本: 1つ目は、民間企業を支援する際と同様の問題解決手法を適用したことです。プロジェクトでは、現場での実践につながるような学習コンテンツを全国の教職員に提供する、というゴールを設定していました。このゴールを達成するために解くべき重要な課題のひとつとして、「受講者がオンデマンド研修を通じて学んだ知識やスキルを教育現場で実際に活用してもらうには、どのような事例や演習問題を組み込むべきか」があると考え、オンデマンド研修が題材としている事例や演習問題について、7自治体の教育委員会の関係者や専門家の方々にヒアリングを行い、チームで作成したものが現場の感覚に即しているかを検証しました。これは一つの例ですが、このように問題解決の手順に沿ってひとつひとつの課題を解決しながら、学習内容の検討から、モジュール全体の改善まで、各自治体の関係者、専門家、教職員の皆様と共に作り上げていきました。

2つ目は、オンデマンド型の学習教材に関するグローバルな知見を活用したことです。マッキンゼーには全世界133箇所のオフィスで幅広い領域の知見が蓄積されており、今回の研修設計もそれらの知見を活用しながら構築しました。例えば、オンデマンド研修を正式に全国展開する前に行った利用者調査にあたっては、必要なデータを得るための対象の選定方法から、調査・質問の設計まで、社内の専門家と議論を重ねました。ほかにも、社内研修の作成を担当するラーニングチーム、グローバルのデザイナーチーム、マッキンゼーが所有する学習プログラム「Forwardプログラム」の担当者にも協力を得ました。「Forwardプログラム」は幅広い個人を対象に、未来の働き方に必要な実践的スキルを提供する無料の学習プログラムであり、場所・業界・職種を問わない汎用的な能力の育成という点で類似しているため、担当者の知見や経験の多くが私たちのオンデマンド研修に活用できました。このように、国境を越えて多種多様な専門性を持つ社内エキスパートと連携しながら、最大限のインパクトを追い求めることができる環境があることがマッキンゼーの強みです。

―毎日どんなスケジュールでオンデマンド研修の設計を進めていましたか?

山本: オンデマンド研修の展開に向けた、とある1日を紹介します。まずチーム全員で「チェックイン」と呼ばれる打ち合わせを毎朝行います。チェックインは、その日の目標や各自が取り組むべき仕事、スケジュールを共有する場です。優先順位や作業計画について相談することで、その日の作業の方向性をチーム全体で揃え、効率的に仕事を進めることができます。

教育関係者へのヒアリングがある日は、検証したい仮説や、質問の仕方をチームで議論し、準備の時間を取りました。実際のヒアリングでは、事前に考えた仮説をその場で更新しながら新たな質問を考えるなど、瞬発力や思考力が求められました。

その後、ヒアリングから得られた重要な事実や示唆をパートナー含むチームメンバー全員に共有し、今後の行動計画やプロジェクト全体の方向性に関する議論を行いました。効率的な議論ができるよう、具体的な相談事項の整理などを行い、事前準備をして臨んでいました。

午後は、個別のタスクに集中して取り組んだ後、夕方にチームが再集合し、週次の振り返り(レトロ)を行いました。この振り返りでは、チーム運営がこの1週間どうだったか、先週より改善した点は何で、現在の懸念点は何か等を話し合い、翌日以降に向けた、より効率的な働き方を決めました。

また、私はチームメンバーとの個別面談の時間を週次で設けていました。この時間では相手の役職にかかわらずお互いにフィードバックを行い、自分のパフォーマンスに対する客観的な意見をもらいながら、自身の成長を加速するために取り組むべき事項や今後の目標を決めました。

このように、会議やヒアリングなど集中力が求められる時間も多い一方で、メリハリのある働き方ができる環境が整っていることも特徴だと思います。家族がいるメンバーは柔軟に勤務場所を調整しているほか、オフィス内ではチームと議論するエリアと個別で集中して作業するエリアをそれぞれ活用するなど、時間や場所のベストな使い方をチームと調整しながら自分で決められることも魅力の一つです。

4. 本質を捉える力を磨く。プロジェクトを通じた成長の実感

―このプロジェクトを通じて、どんな学びや気づきがありましたか?

山本:プロジェクトを通して、私は問題解決能力やそのプロセスについて、より深く理解し、実践できるようになりました。特にこのプロジェクトでは、目の前の作業に追われるだけでなく、一歩引いて全体を俯瞰し、本質的な課題を捉え直すことの重要性を学びましたし、新たな情報によって仮説が変わるたびに、俯瞰的に解いている課題の全体像を捉えなおす習慣が身についたと思います。このような姿勢は、日々のコンサルティング業務において、最大限の成果を生み出すための重要な力になっていると実感しています。他にも、先のゴールから逆算して作業計画を立てるプロジェクトマネジメントの力や、伝えたいメッセージを相手に合わせて適切にコミュニケーションする力など、このプロジェクトを通じて多くのことを学びました。

このように、マッキンゼーで働く中で日々自分が成長していると感じられるのは、コーチングの環境が整っていることが大きな理由だと思います。一緒に働くチームメンバーやパートナーからフィードバックを受ける機会が頻繁にあり、自分が伸ばしたい能力について、その成長のためにどのように取り組んでいくべきかアドバイスをもらうことができます。フィードバックと実践を繰り返すことで、自分のできることが増えていることを実感しますし、それに伴い新たな挑戦の場も広がっています。

5. 社会に変革をもたらすリーダーを、マッキンゼーは求めています

マッキンゼーでは、社会貢献活動をプロジェクトの1つと位置づけ、全社を挙げて取り組んでいます。今回の教育の事例のように、若手コンサルタントが主体となってインパクトを残し、会社全体を巻き込んで「世界に創造的かつ持続的な変化を生み出す後押しをする」ことの実現に向けた活動をする機会が豊富にあります。また、「卓越した人材の育成に注力する」というミッションが企業文化と社内制度に深く根付いており、リーダーシップ層が若手の育成に積極的に関わっています。

どのプロジェクトにおいても、どの立場であっても、私たちは解決が難しい問題に日々直面し、効率的かつ柔軟にチーム内で協働して、スピード感をもって問題解決に取り組んでいます。社会にインパクトを残したい人、圧倒的な成長環境のもとで主体的に問題解決に挑戦したい人を、マッキンゼーは求めています。 ご応募はこちら