グローバル・インフラストラクチャ・イニシアティブ (GII) ・サミットは2012年に初めて開催されて以降、インフラや資本プロジェクトに携わる世界各国の企業幹部を多数招聘して大規模インフラの開発方法や既存資産の有効活用手段について検討を行っている。第8回会議は2022年10月19-21日に東京で開催され、持続可能なインフラへの道をいかにして切り開くかという点について討議を行う予定。
コロナ禍で表面化した課題と先行きの不透明感は、11.6兆ドル規模に達する世界のインフラ業界にかつてない影響を及ぼした。世界に壊滅的な打撃を与えたとはいえ、コロナ禍が世界の潮流の何がしかを加速し、業界に転換点をもたらしていることもまた、紛れもない事実である。インフラへの投資は引き続き複数の成果をもたらす重要な取り組みであると考えられているが、持続可能性、デジタル技術、人材戦略といった課題も総じてCEOが取り組むべき優先課題に浮上してきた。
脱炭素化、エネルギー転換、社会的公正、レジリエンス、デジタル変革、人材獲得といった課題はコロナ禍後の世界を乗り切るための最重要課題になるだろう。こうした課題を解決するには、絶対にやり遂げるという強い意志、さらにそれに即した行動とバリューチェーンを横断した協力関係が不可欠である。そうしたものを築き上げてきた企業は、将来的な課題に立ち向かう準備が進んでおり、したがって、より持続的で、レジリエンスに優れ、包括的な世界を生み出すことに貢献することになるだろう。
2022年のプログラムは以下4つのテーマに沿って構成
脱炭素化とエネルギー転換: 温室効果ガスの排出量を実質ゼロに抑えるという目標が達成できるか否かは、事業運営における原則となりつつあるだけでなく、競争面における差別化要因にもなっている。脱炭素化とエネルギー転換戦略を成功に導くには、政策と規制による対応、新規投資と関連リスクの管理に加え、官民両セクターによる協働的なアプローチが必要になる。本テーマでは、二酸化炭素排出量を大幅に削減し、温室効果ガスを実質的に排出しない資産で事業ポートフォリオを構築し、エネルギー転換を加速させる目的で、地域、国家、企業が取り得る具体的な対策に光を当てる。
デジタルとアナリティクスによる変革: コロナ禍がきっかけで、業界では接続型デジタル機器とサイバーセキュリティツールへの依存度が高まり、データアナリティクスを活用して経営上の意思決定に役立つ情報を提供する企業が大きく収益を伸ばしている。企業がプロジェクトを試験、実験段階から実用段階に進めるには、会社全体とプロジェクト個別という複眼的視点から包括的変革に取り組む必要がある。本テーマでは、プロジェクトのライフサイクル全体でパフォーマンスと持続可能性を向上させる上で、テクノロジーとアナリティクスが果たす役割について取り上げる。
リーダーシップと人材育成: 組織変革に取り組む場合、財務成績、リーダーシップ、企業文化、人材といった点に同時に注目すると、成功の確率がより高まる。COP26では当業界が持続可能性と温室効果ガス排出の実質ゼロ化目標に関して転換点にきているということが明らかになった。企業がそうした必達目標を達成するには、人材の誘致、育成、定着を図りながら、不退転の決意でそれに相応しい企業文化を育む必要がある。本テーマでは、コロナ後の世界で人材を確保していくには、どのような対策と組織的価値が必要かという点に光を当てる。
プロジェクトの開発と遂行: 当業界がコロナ禍からの回復を図りながら温室効果ガスの排出を実質ゼロ化するという目標を達成するには、プロジェクトの開発と遂行のあり方を再考する必要がある。業界のリーダーは個別の状況に即してプロジェクトを遂行するというやり方を捨て、過去に類をみない規模とペースで世界的な観点でプロジェクトのポートフォリオを構築し、遂行していかなければならない。本テーマでは、こうした目標を達成するために不可欠な取り組み、例えば政策、スキル開発、弾力性に富むサプライチェーン、標準化、テクノロジーの実装、信頼に基づく協働関係の構築などについて取り上げる。
以上のテーマに沿った討議に加え、個別テーマに絞らない分野横断的な討議とセクターごとのラウンドテーブルを実施する。分野横断的討議では、主としてインフラ関連のガバナンス、能力、実務遂行システムをどう改善すれば、持続可能なインフラへの道が開けるかという点について討議する。セクター別ラウンドテーブルでは、参加者が選択したセクターについて深掘り分析を行う。
本会議に参加できるのは業界企業のCEOと最高幹部のみである。