生産性向上が導く新たな成長の軌道

Future of Japan
生産性向上が導く新たな成長の軌道

Georges Desvaux、Jonathan Woetzel、桑原 祐、Michael Chui、Asta Fjeldsted、Salvador Guzman-Herrera
Future of Japan
生産性向上が導く新たな成長の軌道

日本の労働力人口が減少しつつあることを踏まえると、日本は、生産性向上に向けた取り組みをこれまで以上に強化する必要に迫られるだろう。生産性向上を実現する民間セクターにおける施策こそが、アベノミクスにおける「四本目の矢」となり得る。

痛みを伴う「失われた20年」 の間、日本は競争力の多くを失った。しかしながら、次の10年は、日本が望む未来へと軌道を修正していくチャンスである。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが新たに発表したレポート「Future of Japan – 生産性向上が導く新たな成長の軌道」では、民間セクターが主導できる分野に焦点を絞り、経済成長と再生に向けた道筋の可能性を示している。労働年齢人口が減少する中、日本は、生産性向上を主な原動力として経済成長を推進していかねばならない。

この20年間、日本の生産性の伸びは全体で年率2%未満と伸び悩んでおり、この傾向が続けば、日本の2025年までの経済成長率は年率1.3%にとどまる見通しである。こうした低迷により、家計の購買力が上向かないばかりか、高齢化が進む中で社会保障や医療を提供するための財政も圧迫される。

日本が付加価値の増大とコスト削減に注力して生産性の伸びを現在の2倍に高めることができれば、経済成長率を年率約3%とすることは可能である。そうなれば、2025年のGDPが現時点の予測より最大で30%拡大することになり、財政見通しも改善される。2025年だけに限っても、GDPが1.4兆ドル拡大する計算である。

Future of Japan  生産性向上が導く新たな 成長の軌道

かつて、日本の先端製造業は世界で初めて「リーン」の概念を知らしめたが、今日では日本の生産性は米国やドイツを約3割も下回る。しかも、単にかなりの差があるだけでなく、その差は拡大し続けている。生産性を持続的に向上することは時間の経過とともに困難になるが、日本が産業全体で新たな競争力をつける対策を講じれば実現可能である。この取り組みはコスト削減にとどまらない。新たなビジネスラインを導入し、イノベーションを極限まで突き詰め、新規市場に参入して成長を促し付加価値を高めることでもある。

Future of Japan  生産性向上が導く新たな 成長の軌道

日本は、改革のアジェンダをさらに広げる必要があり、根本的な問題を政策だけで解決することは不可能である。成長を抑えてきたマイナス要因やボトルネックの多くは、従来からのビジネスのやり方に起因している。日本は、すでに世界で活用されている手法を採り入れることで、生産性向上ポテンシャルの50~70%を達成できる。残る向上余地のほとんどは、新しい技術の導入によって実現可能である。

日本の生産性を高めるために民間セクターで大規模な取り組みを実施すれば、アベノミクスを補う経済改革の「第4の矢」になり得る。日本が景気低迷から脱却するためには、世界のベストプラクティスを幅広く採り入れ、新たなテクノロジーに次々と投資を行い、大胆かつ新たなビジネスモデルを試す意欲が必要である。

日本は、何百万人もの女性を労働人口に取り込み、女性の労働参加率を改善する必要がある。それによって政策、商慣行、社会全体の姿勢が変わり、日本の企業や政府機関でも女性がどんどん幹部に起用されていくだろう。

日本は、教育程度の高い労働力、技術力、豊富な資金、全国に張り巡らされたモダンなインフラ、技術革新の伝統など、将来の成長を支える多数の要素をすでに備えている。しかし、人口の減少に加え、急激に変化し熾烈な競争を繰り広げる世界経済の要求に応えるには、経済の基盤を強化し再編することが必要である。

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Georges Desvaux、Jonathan Woetzel、桑原 祐、Michael Chui、Asta Fjeldsted、Salvador Guzman-Herrera
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