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未来の労働を探求する:
自動化、雇用そして生産性

ロボティックス、人工知能、機械学習の進歩によって、自動化の新しい時代が到来しつつある。

認知能力を伴う活動を含む様々な活動を、機械は人間と同等もしくは人間よりも巧みに行えるようになっている。本稿は未来の労働力に関して現在実施中の研究の一環であり、世界経済の自動化の可能性、職場での自動化の普及のペースと程度を左右する要因、自動化の可能性に伴う経済的インパクトについて分析を行う。

  • 自動化はビジネスにおいてエラーを減らし作業の質とスピードを高め、場合によっては人間の能力を上回る成果を達成し業績の改善を可能にする。過去そうであったように、自動化は生産性にも寄与する。生産性が伸び悩んでいる今こそ、自動化は経済成長と繁栄を下支えし、多くの国における労働年齢人口の割合低下による影響を相殺することに役立つ。我々のシナリオ予測モデルによると、自動化が世界経済にもたらす生産性の向上は年間0.8~1.4%に達する。
  • 800以上の職業の2,000を超える作業活動について実施した分析によると、世界中の職場で労働者が対価を受け取って行っている15兆ドルにも及ぶ作業活動の約半分は、既存の技術を用いて自動化できる可能性がある。また、既存技術を用いて全自動化できる職業は全体の5%足らずだが、およそ60%の職業の少なくとも30%の作業活動は自動化が可能である。自動化によって職業が消滅するよりも、職業の内容が変わることの方が多いだろう。
  • 自動化の可能性が最も高い活動には、非常に構造的かつ予測可能な環境での身体活動のほか、データ収集・処理が含まれる。米国ではこれらの作業活動が経済活動全体の51%を占め、賃金総額にして2.7兆ドルに相当する。これらは製造業、宿泊・飲食サービス業、小売業で最もよく見られ、一部の中スキルの職業も含まれる。
  • 自動化のペースと程度を左右するのは技術的、経済的、社会的要因である。例えば、自然言語処理などの分野における継続的な技術進歩は重要な要因となる。技術的実現可能性以外にも、技術のコスト、スキルや需給動向を含めた労働力との競争、労働コスト節減など業績面への恩恵、規制当局と社会の容認が自動化のペースと規模を左右する。我々のシナリオは現代の作業活動の半分が2055年までに自動化される可能性を示唆しているが、経済情勢に加え各種要因に応じて、その時期が最大で20年早まる、あるいは遅くなる可能性がある。
  • 世界各国が目標に掲げる人口一人当たりのGDP成長率を達成するには、人間が機械とともに働き続けることが必要である。生産性に関する我々の推定は、自動化によって失業した労働者が代わりの職業に就くことを前提としている。労働市場にもたらされる変化は、米国で長期的に農業人口が減少した時や、雇用に占める製造業の割合が低下した時と同様の規模が想定されるが、これらには当時は予想だにされなかった新しい種類の職業の創出が伴った。
  • ビジネスにとって、自動化が業績にもたらす恩恵は比較的明瞭だが、政策立案者となると問題はもっと複雑である。政策立案者は、生産性向上による恩恵を経済が受ける機会を捉え、投資推進策と市場へのインセンティブを導入し、継続的な進歩とイノベーションを促すべきである。同時に、雇用に及ぼされる影響に労働者や企業が適応できるための政策を策定する必要がある。この中には教育や訓練の再考、所得補助やセーフティネット、失業者への転職支援などが含まれよう。職場では労働者一人ひとりが毎日の作業の一環として機械と正面から向き合い、自動化の新時代に求められる新たなスキルを習得する必要がある。

 
 
 
 
 
 
 
 

 


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